「AI検索が広がるなかで、自社のサービスがAIに推薦されるには何をすればいいのか」「他社と同じような発信をしていて、差別化できているのか不安だ」そう感じている企業担当者の方は少なくないはずです。
今回は、株式会社Tsuzuru代表を務める馬場が、支援先であるブランド買取店・株式会社retroのバイヤー、佐山さんに、AI検索時代の差別化について話を聞きました。
きっかけは、GoogleのAIモードでretroのコンテンツが推薦されていたという情報です。1年以上YouTubeで発信を続けてきた佐山さんが、話せる範囲で、現場での気づきを話してくれました。
買取実績の量で勝負してきた従来のSEOと、佐山さんが捉えるAI検索の評価軸「悩みへの直接回答」の違い、そして現場のプロが動画で語ることの強みをお伝えします。
株式会社Tsuzuruでは、企画から制作、編集、分析改善まで、YouTube運用のトータルサポートを行っています。AI検索時代に自社が選ばれるための発信、何から始めればいいか分からない方は、この記事を読んだ後、ぜひ一度以下のフォームからお気軽にご相談ください。
AI検索対策で求められる差別化とは|「情報量」から「直接回答」へ

このセクションでは、以下の2点を解説します。
従来のSEOは「買取実績の量」で評価されていた

佐山さんによると、買取業界の検索上位には、これまで買取実績を大量に載せたページが多く並んでいました。このブランドの商品をこれだけ買い取っています、という実績を並べたページが上位に出るパターンが多かったといいます。
これはSEOでいう権威性にあたる部分で、これだけ取引実績があるから評価できる、という形です。各社が実績を載せることにこだわってページを作ってきたのは、そのためです。
私が差別化について意識していることを尋ねると、佐山さんは「自社の戦略はこの従来のSEOとは少し違い、その違いを突いていくつもりだ」と話してくれました。ただし、この差別化は最初から狙っていたというより、運用しながら発見してきたものだといいます。
AI検索は「悩みへのピンポイントな回答」を評価する

佐山さんは、AI検索が評価するのは、情報量ではなく、ユーザーの悩みにピンポイントで答えられているかどうかだと考えています。
佐山さんは、これまで自社で作ってきたコンテンツのうち、AIに参考にされやすいものの傾向を見て、この考えに至りました。1年ほど運用するなかで、検索上位に来るコンテンツには共通点があったといいます。
それは、検索されたキーワードのニーズにどれだけ合致しているかです。キーワードに合わせてコンテンツを作り込めているものは、検索で上位に表示されやすく、動画だけでもGoogle検索の上のほうに載るケースがありました。
そのうえで佐山さんは、AIは、情報量の多いものを勧めてきたこれまでのSEOとは違い、検索された内容に対してより直接的に答えているコンテンツを評価すると考えています。この仮説が、次のセクションで扱う「なぜ動画が選ばれるのか」につながります。
AI検索時代にYouTube動画が選ばれる理由|現場のプロの解説がニーズに合う

このセクションでは、以下の2点を解説します。
理由① 現場のプロが検索ニーズに直接答えられる
佐山さんは、AI検索が直接的な回答を評価するなら、現場のプロが動画で解説するコンテンツのほうが、ニーズに合う時代が来たのではないかと考えています。
佐山さんはこの考えを重視して、自身のYouTube動画もコンテンツも作っています。情報量で勝負する従来型のページと違い、現場を知る人間が、検索された疑問に向けて話す形です。
一方で私は、記事や買取実績を見ただけで、その会社に買取を任せようと思えるハードルは、各社の間で上がっていると感じています。
そこで、動画によって他社との差別化ができているのかを、佐山さんに聞いてみました。その答えが、次に紹介する顧客の声です。
理由② 顔出しの動画が顧客の信頼になる
顔を出して商品を紹介している会社なら悪いことはしないと思った。これが、YouTube経由のお客様が佐山さんに伝えた、retroを選んだ理由です。
佐山さんは、最近お客様からこう言われたことがあるといいます。接客に伺ったお客様が、たまたまYouTube経由でした。「何で知っていただいたんですか」と尋ねると、「YouTubeです。見てますよ」との返事。
さらに、retroに決めた理由を聞くと、次のように言われたといいます。
「顔も出してて商品の紹介もしてYouTubeやってる会社さんが悪いことしないと思いました」
私はこの言葉を、本質を突いていると感じました。佐山さんも、これだけオープンに顔を出していれば悪いことはできない、と納得したといいます。ここまで言ってもらえると、続ける意義が見えてくる、とのことです。タイミングが合えば店頭でもお会いできる「会いに行けるバイヤー」だと、佐山さんは自らを表現していました。
YouTubeによるAI検索対策が他社に真似されにくい理由

このセクションでは、以下の3点を解説します。
佐山さんは、他社がこの形でコンテンツを作りにくい理由として、現場経験、顧客の声、顔出し、続ける体力を挙げています。
私は、他社が追随できないほどのコンテンツになっていると感じ、なぜそこまでやるのかを佐山さんに尋ねました。
佐山さんの答えは「まだ全然やり足りていない感覚があり、もっと作らないといけない」というものでした。そのうえで、主要なブランドについては、YouTube上で佐山さんの動画が上位に出てくるようになってきたと感じているそうです。
他社が「できない」とまでは言わないものの、やりづらい理由として、佐山さんがまず挙げたのが演者の障壁です。
その背景にあるのが、動画の作り方です。佐山さんは、実際に商品をお売りいただいたお客様の顔を思い浮かべながら、その方が手放すときにどんな疑問を持っただろうかを考え、そこにダイレクトに答える手法も取っています。
ここからは、この演者の障壁の中身を2つ、組織の面から見た壁を1つ、計3つに整理して紹介します。
壁①現場経験と、顧客の声を拾える人材が必要
濃い内容を解説するコンテンツには、まず実際の現場経験が必要だと佐山さんは考えています。
佐山さんは、買取業界でいえば現場経験は必要だと話します。
そのうえで、現場での知識に加えて、実際にいるであろうお客様の声を拾えることを、ダイレクトに答える動画づくりに欠かせない要素として挙げています。私が「そういう人材が必要」と確認すると、佐山さんも同意していただけました。
壁②顔出しと、数字が出ない初期に耐える体力
顔を出して発信できることに加えて、数字が上がらない初期にも耐えながら続ける体力が求められると、佐山さんは話します。
佐山さんは、これらが全部揃っているほうがよく、ぜひやったほうがいいと考えています。
一方で私は、これだけの条件を満たすのは、ハードルが高いと感じました。
壁③大手ほど、分業とスピードが難しい
佐山さんは、大手であるほど、この形での発信は難しいのではないかと考えています。
理由の1つが、分業のしづらさです。コンテンツを作る人と、動画で話す人が同じになるため、自分で腹落ちしていない内容は話しづらくなります。
「日常の買取業務をしながら台本まで作るのは、よほど好きでなければ難しいのではないか」と佐山さんは言います。佐山さん自身は好きだからやれているとのことです。
一般的な企業では、マーケティング担当部門があり、予算があり、社内で出演者を募ることになります。カメラマンや編集者まで社内で用意する必要はありませんが、それでも関わる人が増えます。
さらに、買取業界のコンテンツは、相場が変わるため速度感も大切です。
こうした演者の問題、社内の人数や予算の問題を考えると、大手は取り組みに踏み切りにくいだろうというのが佐山さんの見方です。私から見ても、佐山さんは、こうした条件が揃った人材だと感じています。
AI検索に評価される動画づくり|AIに任せること・任せないこと

このセクションでは、以下の2点を解説します。
佐山さんがAIに任せているのは「話しやすい台本への手直し」で、専門知識と数字は自分で用意しています。
私は、本業のバイヤーをしながらYouTubeも続けるのは相当な業務量だと思い、忙しい中での両立の方法を佐山さんに尋ねました。佐山さんは大変だと答えたうえで、工夫の1つとしてAI活用を挙げました。
ただし、佐山さんは、台本の中身までAIに任せきりにすることには注意が必要だと話します。重要性を理解しないまま台本を完全にAIに頼ってYouTubeを続けても、お客様は取れず、SEO上でも全く評価されないコンテンツになってしまうと考えています。
AI時代の動画づくりで、どの工程をAIに任せるべきかは、AI時代のYouTube戦略の記事で詳しく解説しています。
AIに任せる:話しやすい台本への手直し

佐山さんがAIに任せているのは、専門知識を、話しやすい文体に整える作業です。
佐山さんは、プロである以上、勝負するのは自分が持っている知識だと考えています。そのうえで、話しやすいように文体を整えることは、AIを活用したほうがいいと話します。
お客様が来る仕事には、それぞれの専門領域があります。その領域の知識を読み込ませ、話しやすい形に手直ししてもらう作業を、佐山さんはAIにやってもらっています。
やり方は、箇条書きのメモでいけるといいます。買取が高くなる条件のパターン、実際の買取金額はいくらからいくらまで、といった内容をメモにまとめ、「これを台本として喋りたいので手直ししてください」という形で出力させています。
人間がやる:専門知識・数字・条件の用意

佐山さんは、AIに渡す専門知識・数字・条件は、自分で用意しなければならないと考えています。
佐山さんによると、AIだけに頼ると、まったく違う知識を持ってくることがまだあるからです。台本のなかでも重要な部分は、人間が用意しなければなりません。
私が情報の濃さが大事だと投げかけると、佐山さんも「そこが大事なんですよ」と応じました。
現場で得た買取の条件や金額といった情報を自分で用意することが、佐山さんのAIの使い方の前提です。
AIを使った台本づくりや、動画発信の進め方に迷っている方は、お気軽にTsuzuruへご相談ください。
再生回数だけでYouTubeの価値を判断しない|検索ボリュームと比べる

このセクションでは、以下の2点を解説します。
数百回再生でも不安にならない理由
佐山さんは「検索ボリュームの小さいテーマなら数百回の再生でも、月間の検索ボリュームを上回る人数に見てもらえている」と考えています。
佐山さんは、自分の動画のなかにも、400〜500回ほどの再生で止まっているものがあると話します。
例として挙げたのが、ルイ・ヴィトンのオンザゴーという単一モデルの買取動画です。それでも佐山さんは「全然へこまない」といいます。
オンザゴーの月間検索ボリュームは、佐山さんの認識では100ほどしかないからです。月間の検索ボリュームが100ほどで、400〜500回見られているなら、検索している人数より多くの人が見ているという考え方です。
私も、動画は検索を通じて積み上がっていくものだと思います。
まず自社コンテンツのキーワードの検索ボリュームを確認する
佐山さんは「再生数が少ないと感じたら、まず自社のコンテンツが狙うキーワードの検索ボリュームを、Googleで見てみたほうがいい」と勧めています。
テーマによっては、数百回の再生でも、そのテーマを検索する人の数を上回っていることがあるからです。
動画コンテンツの強みとして佐山さんが挙げるのは、SEOで上位に表示されている記事の流入数よりも、はるかに多くのお客様の目に届くことです。
YouTube動画の記事化でAI検索・SEOの流入経路を増やす

このセクションでは、以下の2点を解説します。
動画を記事化したページは、動画なしのページよりアクセスが取れる
佐山さんの話を記事にしたページは、動画を撮っていないページと比べて、しっかりアクセスが取れるパターンが多いといいます。
比較の相手は、retroが過去に作ってきたランディングページや、動画を撮らずに書いたブログ記事です。佐山さんは、動画で話した内容をそのまま記事にすることは大事だと考えていて、現在も実行できていると話します。
私が、YouTubeを起点にしたコンテンツ展開を社内でどう回しているのかを尋ねると、佐山さんは正直なところ、全体としては課題感があると答えました。そのうえで、動画を記事として活用するところまでは、しっかりできているといいます。
動画を埋め込むと、ページの滞在時間が伸びる
佐山さんは、記事化したページに動画も埋め込んでいて、動画を見ている時間がそのままページの滞在時間になると説明します。
「滞在時間が長くなることは、SEOで上位に来ることにつながる」というのが佐山さんの考えです。この点からも、記事化したページには動画があったほうがいいと考えています。
なお、横型の動画をショート動画にする展開は、最近始めたばかりで、数字はこれから見ながら試行錯誤していく段階だといいます。よく再生されているのが、バーキンのショート動画です。
佐山さんは「この展開が狙いどおりに機能すれば、より多くのお客様にretroを知ってもらい、申し込みにつながるのではないか」と期待しています。
撮った動画を記事にして、集客の入り口を増やしたい方は、お気軽にTsuzuruへご相談ください。
AI検索対策とYouTubeに関するよくある質問
このセクションでは、以下の3点を解説します。
AI検索対策に動画は必須ですか?
AI検索対策に動画は必須とは限りません。
佐山さんも、100%動画を使えばいいという判断はしておらず、会社によっては、記事だけ、ショート動画だけという選択肢もあると考えています。
そのうえで佐山さん自身は、YouTubeは絶対にやったほうがいいという立場です。理由として挙げているのは、検索ボリュームより多くの人に届くこと、記事に埋め込むとページの滞在時間が伸びること、継続して発信すると会社の実態が見えて安心してもらえることの3つです。
再生回数が少なくても動画に意味はありますか?
再生回数が少なくても動画に意味はあると、佐山さんは考えています。
佐山さんの動画にも、400〜500回ほどの再生で止まっているものがありますが、検索ボリュームが小さいテーマであれば、検索している人数より多くの人に見てもらえていると捉えています。
再生数の大きさだけで判断せず、まず自社のキーワードの検索ボリュームを確認するのが、佐山さんの勧める見方です。
YouTubeの台本はAIで作ってもいいですか?
佐山さんは、AIを台本の文体の手直しに使っており、中身まで任せることには注意が必要だと話します。
専門知識や買取条件、金額といった中身は、自分で用意してAIに渡します。AIに完全に頼ると、お客様も取れず、SEO上でも評価されないコンテンツになってしまうと考えています。
まとめ:AI検索時代の差別化は「現場のプロが検索ニーズに直接答えるYouTube」から
佐山さんが語るAI検索時代の差別化は、買取実績の量を並べることではなく、現場のプロが、検索した人の悩みに直接答えることです。顔を出して話す動画は、お客様の安心にもつながっていました。
佐山さんは、この形には現場経験と、数字が出ない初期にも続ける体力が必要だと話します。それでも、AIには文体の手直しだけを任せ、専門知識は自分で用意し、撮った動画は記事にして活用しています。
こうした積み重ねが、他社に追随されにくいコンテンツにつながっていると、私は感じています。
株式会社Tsuzuruでは、YouTubeチャンネルの立ち上げから運用まで、企画・制作・編集・分析改善を一気通貫でサポートしています。今回対談したretroのチャンネルも、立ち上げから支援しており、現在はチャンネル登録者が約1,000人になっています。
AI検索時代に、自社がどう発信すれば選ばれるのか。その答えを一緒に考えたい方、あるいは自社の発信内容について私(馬場)に相談してみたい方は、お気軽に以下のフォームよりお問い合わせください。
